星史「Σげ!?」
舞人「これは…」
勢いよく飛び出した二人だったが、システム内はとんでもない状態だった。
舞人「システム内が乱れている!?」
飛び出した先は、足場もひび割れ、所々大穴が空き、乱れが生じていた。
星史「ちょっと、これって、どういう…」
ガッ!…
星史「Σのわあ!?」
浜田「星史君!?」
舞人「危ない!!星史君!!」
星史が足元のひび割れに躓き、大穴に落ちそうになった瞬間、間一髪舞人が星史の腕を掴み、落下せずに済んだ。
星史も舞人もモニター越しに見ていた浜田も安心して腕を撫で下ろす。
舞人「大丈夫かい、星史君!」
星史「危ねー…助かりました、舞人さん。ありがとうございます!」
浜田「だから、、言ったろ?気を付けてって!」
星史「すいません、迂闊でした…(汗)」
舞人「しかし、ここまで乱れているとは…」
浜田「ウイルスの影響さ。所々ダメージがある、くどい様だけど、崩壊に巻き込まれないよう細心の注意を払うんだ!!精神をデータ化しているから、現実世界とは訳が違う。怪我をすれば脳そのものにダメージを与え兼ねない。」
星史「要は焦りと怪我は禁物って事ですね、了解です。」
舞人「浜田君、ナビゲートに影響はあるかい?」
浜田「今のところは大丈夫だ、ただいつまで持つかどうかはわからない、気を付けなければならないけど、なるべく急いだ方がいい。タイムリミットもある。」
舞人「分かった。」
浜田「よし、このエリアにガインたちの意思となる核<コア>があるはずだ!慎重に探してくれ!」
星史「了解です!探しましょう!!舞人さん!!」
舞人「ああ!」
星史と舞人は細心の注意を払いながら、ガインたちの意思が形となった核<コア>を探し出す。
星史「!?舞人さん!!あれ、もしかして!!」
星史が何かを発見し、遠くの方を指さす。そこには、見慣れない核<コア>のようなものが、10体存在した。舞人はその指し示す方向にじっと見つめ、確信を持つ。
舞人「!?浜田君!!」
浜田「ああ!間違いない、ビンゴだ!強制的に抑え込まれているガインたちの本来の意思だ!」
それは、間違いなく特急隊10体の本来の意思が封じられた核<コア>そのものだった。舞人は早速駆け寄り、ガインたちに問い掛け始める。
舞人「ガイン!!聞こえるか!!俺だ!!舞人だ!」
ガイン「……」
舞人「ガイン…」
しかし、返答がない。舞人はより一層不安を募らせる。
星史「舞人さん、続けて!!」
浜田「星史君の言う通りだ!舞人、諦めちゃダメだ、まだ時間はある。」
そんな舞人を見兼ね、星史も浜田も舞人を励ます、ここで諦めれば、全データのフォーマットが余儀なくされる。二人はここまでの苦労も考え、何とかして防ぎたい一心だった。
舞人「ボンバーズ!!ダイバーズ!!マイトガンナー!!みんな!!意思を取り戻してくれ!!」
特急隊「……」
何度続けても、各々から反応はない。舞人は悔しさに唇を噛み締める。
その時…
ビリリリリ!!…
舞人「Σぐわ!?」
星史「Σうぐっ!?」
星史と舞人に急な衝撃が襲い始めた。それを見ていた浜田は、緊急事態であると認識した。
浜田「不味い!!二人の制御が維持出来なくなって来ている!!」
星史「…そんな!タイムリミットは…まだまだなのに!?」
浜田「すまない…ウイルスの影響を甘く見すぎた。こんなに早く維持出来なくなるなんて…舞人。星史君。残念だけど、これ以上は危険だ。約束通り強制的にログアウトするよ!」
浜田は苦渋の決断を下す。しかし…
舞人「!?浜田君、待ってくれ!!もう少しだけ…」
舞人は諦めきれず、ギリギリまで残ると言い出す。これには浜田も声を荒げざる負えなかった。
浜田「舞人!無茶言うな!!このままじゃ本当に手遅れになるんだぞ!」
星史「俺からも、お願いします!!もう少しだけ…」
星史も舞人の熱意に乗じ、浜田に懇願する。浜田は更に困り果てる。
浜田「星史君まで…タイムリミットはもう関係ないんだ、このままじゃ二人とも戻れなくなる、約束したじゃないか!?」
全て浜田が正論だった。舞人は苦しみに悶えつつも考え抜いた末、ある答えを出す。
舞人「…仕方ない…浜田君!!星史君だけでもログアウトさせてくれ!!」
星史「舞人さん!?」
星史は舞人の思わぬ一言に動揺を隠せなかった。舞人はただ一人残る事を決めたのだ。
浜田「舞人!まさか本気で残る気なのかい!?」
舞人「このままじゃ特急隊隊長失格だ。たとえこの身がどうなろうと俺がなんとかしなければならない、それが隊長である俺の責任だ!星史君…ここまで、ありがとう。君まで巻き込む訳にはいかない。後は俺だけでいい。」
舞人は決意の眼差しで語る。そんな舞人に対し、星史はその気持ちを汲みつつも自分なりの答えを出した。
星史「…まったく…言い出したら、聞かないところは俺に激似ですね。」
星史はそっと舞人の肩を掴む。
舞人「星史君?」
星史「ここまで来て『はい、そうですか。』なんて簡単に従う訳にはこちらとしてもいきませんよ!なんと言われても残らせて貰いますよ!!一応、俺も元勇者たちの隊長ですしね!」
舞人「星史君!!」
なんと星史までもが残ると言い出した。これには流石の舞人もド肝を抜かれ、困惑した。
浜田「あーもうー!!僕はもう知らないよ!!<(;´д`)>」
こうなってしまっては、説得を続けていた浜田も成すすべなく、白旗を揚げざる負えなかった。
舞人は溜息を一つ吐き、改めて星史と共に残る覚悟を決める。
舞人「…星史君も無茶するね…」
星史「その言葉、そっくりそのまま返しますよ(笑)ほら、集中して下さい!信じるんです。言葉は通じなくとも正義の心は通じるはずです。」
舞人「ああ!」
舞人と星史は真剣な眼差しでガインたちの核<コア>に向き直す。
舞人「ガイン…みんな…」
舞人「目を覚ませ!!」
ピキィィィィーン!!
舞人&星史「「Σうぅ…!」」
舞人の正義の心に加え、星史の正義の心も加わり、その合わさった正義の心がガインたちの意思に響き渡ったかの如く、耳をつんざく高音と共に眩い光に満ち溢れた。
ガイン「…は!わ、私は…」
ホーンボンバー「俺たち、どうしてたんだ…」
ファイアダイバー「我々は…今まで何を…」
マイトガンナー「なんか嫌な夢を見てた気分だぜ…」
浜田「あ…ああ…」
特急隊の面々が正気に戻っていく。その光景に浜田は、手を震わせる。
ガイン「…そうか、我々は確か急に制動が効かなくなって!!」
浜田「…や、やったー!!やったよ!ガインたちの暴走が止まった!みんな意思を取り戻したー!!」
星史&舞人「「ふー…」」
通信の先で浜田が激しく喜んでいるのを聞いて、星史と舞人も深く溜息を吐いたのち、安堵の表情を浮かべる。
星史「ね?奇跡は起こすもんでしょ?」
舞人「驚いたよ…本当の意味で…」
浜田「あ、いけない!!さあ、二人とも急いでログアウトするよ!!ログアウト!!」
景色が歪み、徐々に視界が暗くなっていった。
舞人「は!こ、ここは…」
星史「戻って来れたん…だよな?」
目を開けると、見慣れた光景。先ほどまでいた研究室の中だった。
浜田「ああ、そうだよ!なんとか間に合って良かったよ…ったく、二人ともヒヤヒヤさせないでくれよ…」
星史「そんなこと言って〜…浜田さん、心配した割に、メチャクチャ嬉しがってじゃないですか(笑)」
浜田「ぐ…それはそれとしてだね…(汗)」
舞人「ハハハ!ごめんごめん、二人には、本当に感謝している。ありがとう!特に星史君。君には感謝しきれないくらいだ!」
浜田「確かに!それは僕も同感だ!星史君の力があったからこそ事態を最小限に留める事が出来た。僕からもお礼を言うよ!!ありがとう!」
星史「いえ、二人には、前回めちゃくちゃ助けてもらいましたからね!!これくらいしますって!!」
舞人「さて、これでセキュリティも現状復帰したはずだ!パーティー会場に戻ろう!!」
浜田「残念だけど、その前に二人はメディカルチェックを受けて貰うよ!一応、危険な状態だったんだからね!」
舞人「ハハハ、そうだった!」
浜田「ま! 言っとくけど、舞人はこれから事情説明やら補償やらで何かと大変だぞ?(笑)」
舞人「分かっているさ!しっかり覚悟してるよ!」
星史「それじゃ、さっさと検診受けて戻りましょう!ひかるやサリーさんが待ってますし!」
舞人「そうしよう!」
前代未聞の一大事は無事に解決し、星史たちは研究室を後にするのだった。
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