時空を超えた怪事件
〜真相究明編〜
タイムリミットまであと二日。
星史は舞人の操縦するマイトウイングに同乗し、マイトステーションに到着した。
しかし、一日中ずっと動きっぱなしだった所為でかなりの疲労もあるだろうと舞人の判断で仮眠室で仮眠を取らせてもらっていた。
ピピピピピピ…
星史「…は!しまった、時間だ!」
慌てて起きた星史は、一目散に舞人たちの下に向かった。
ウィーン!
星史「舞人さん!すいません、遅れまし…て?」
メインルームに入った星史はその光景にきょとんとした。
目線の先では、舞人が秘書の松原いずみにお説教を貰っていたのである。
いずみ「舞人さん!!どういう事ですか!他の世界に首を突っ込んで、少しは社長らしくして下さい!」
舞人「いや、本当に申し訳ない、ただ星史君たちの世界は大変な事になっているんだ、今回だけ許してほしい(汗)」
いずみ「はぁ〜、今回は星史さんの世界が緊急事態ですし仕方ありませんが…ですが社長としてお仕事の方も宜しくお願いしますね。」
舞人「ああ、分かったよ(汗)」
こんな状況下でこの何とも似つかわしくない光景を目の当たりにして、星史は眺めるしかできなかった。
星史「…まぁ、元が元だから当然こうなるわな…(汗)」
舞人「あ、星史君!!起きたんだね!!」
星史「すいません、本来なら仮眠なんか取ってる暇なんかないのに…」
いずみ「あ、星史さん。おはようございます!」
星史「あ、おはようございます、いずみさん。」
そんなキョトン顔をする星史に二人はようやく気付き、いずみは顔を赤らめる。
いずみ「これはなんとお恥ずかしい所を…(恥)」
星史「い、いえ…大丈夫ですよ…舞人さんも舞人さんだから…」
舞人「ははは、いや〜、それはもう良しとしようじゃないか!」
星史&いずみ「「舞人さん…(汗)」」
相変わらずのノーテンキぶりに戸惑うのも当然である。
星史「いやいや、それどころじゃなかった…分析はどうです?」
舞人「今、浜田君が分析してるよ。もうすぐ、結果が出るみたいだ。」
ウィーン
浜田「舞人!!」
舞人「浜田君!!」
星史「浜田さん!!お疲れ様です!」
すると、そこに舞人の幼馴染で親友の浜田満彦がハッチの外から姿を現した。
浜田「やあ、星史君、ようやく『ゴルゴンの涙』の分析結果が出たんだ!」
星史「本当ですか!じゃあ早速伺っていいですか?」
浜田「もちろんいいけど、もう仮眠はいいのかい?」
星史「ええ、大丈夫です!!」
浜田「OK、それじゃ、報告しよう。舞人も聞いてくれ!!」
星史と舞人に加えいずみと青木も交え、浜田が結果を報告し始める。
浜田「どうやら、この生物兵器は増やす事は出来ても、一から作る事は出来ないらしい…」
舞人「一からは作れない??」
浜田「そう、これがどういう事だか分かるかい?」
星史「…地球上の物質ではないんですね?だから、培養は出来ても主成分が地球外物質だから作る事は不可能だと。」
浜田「…鋭いね、正解だよ。」
星史「やっぱりね、大方予想してました。」
浜田「正確に言うと、物質ではなく、ウイルスなんだけどね…」
舞人「ウイルス?」
浜田「そうさ、このウイルスは相当デリケートなウイルスだよ。30度以上の高温の中、長時間晒す事で爆発的に増殖し、逆に20度以下になると死滅してしまう。そして外気に触れると黒く液体化し、誤って触れて乾いてしまうと忽ち石化するらしいんだ。これが今わかっているこのウイルスのメカニズムってとこかな?」
星史「つまり、25度前後を維持し、外気に触れさえしなければ、ウイルスは死滅しないし、品質を保持できる。」
浜田「その通り。」
舞人「気象データが改ざんされていたとなると、恐らく気温も丁度適温だったという事か。」
浜田「そのようだね。」
張り詰められた空気が漂う室内…地球外ウイルスと聞いてワクチンを生成するのは更に困難になった…と思っていたが、意外な展開となる。
浜田「…だけど、今回は舞人が星史君たちの世界に居て幸いだったね。じゃなかったら、こうして手助けできなかっただろうしね(笑)」
舞人「え?浜田君、どういう意味だい?」
浜田「もう舞人は察しが悪いな(笑)そのまさかだよ!」
そう、そのまさかだった。
星史「まさか!?」
舞人「ワクチンが出来そうなのかい!?」
浜田「ああ、僕たちの住むこのヌーベルトキオでも舞人や僕が生まれる前に似たような石化があったらしいんだ。今回のようにテロではないんだけど、どうやら、隕石に付着した物を誤って触った事で石化した事故があるらしい。その時の現象と瓜二つで酷似しているのさ!」
星史「と言う事は、ワクチンのデータが存在する!」
浜田「そう言う事!早速ワクチンのデータを取り寄せて、持ち帰った昆虫の石化体を利用して臨床実験をしているところさ。」
いずみ「良かったですね、星史さん!」
青木「これは棚からぼた餅ですな。」
舞人「やったね、星史君!」
星史「いや、まだ安心できないですよ、培養の時間がどの位かかるか分からないし、それまで石化した人たちが持つかどうか…」
浜田「そう、問題はそこさ。培養にどの位の時間を要するかなんだけどね、生命の維持力は人によって個人差がある、長くなればなるほど、生存率は低くなるしどの程度必要なのかも定かじゃない。」
星史「そして、もう一つは、ゴルゴンを止めなきゃ、焼け石に水って事。」
舞人「そうか、まだ安心できないね!」
浜田「いずれにしても、全力で行っているから、希望を捨てるのは早いさ。後の事は解析チームに任せて、これから僕は、二人と一緒にゴルゴンの捜索に時間を充てる。星史君たちの世界の情報は全てこのマイトステーションで確認できるように次郎さんと一緒に調整しておいた。この特性コネクションアンテナを星史君の持つ携帯電話に付けると、異世界間でも通話は可能だよ!」
手元に渡されたコネクションアンテナを見詰めて星史は関心と驚きの表情を浮かべる。
星史「ひょえ〜…流石マイトステーションの科学力。やる事がずば抜けてるぜ…(汗)」
舞人「よし、じゃあ星史君のマークしてる人物がゴルゴンかどうか、GDOに対する恨みを持つ動機があるのかどうか、調べようか!」
星史「ええ、それについては、ちょっと考えが…」
舞人&浜田「「考え?」」
舞人と浜田はお互い顔を見詰め合う。
星史「浜田さん、出来るかどうか分かりませんけど、ちょっと頼み聞いてくれますか?」
浜田「なんだい?」
星史「GDOのデータベースにここからアクセスって出来ますか?」
浜田「で、出来ると思うけど…それってつまり…」
星史「ええ、ハッキングして欲しいんです。」
浜田「ハ、ハッキング!?」
そう、ハッキング。現代社会では立派な犯罪行為である。
舞人「星史君、一体どういう事だい?」
星史「俺の推測ですけど、もしかしたら、GDOは過去に何か隠しているのかもしれません。いくら父さんが洗っていると言っても、仮に存在するならば、相当厳重なはず。ちょっとやそっとじゃリークできないでしょう。」
浜田「確かに…わかった。セキュリティも万全だし、例えログを辿られても、こっちは異世界だ、存在しないログとして闇に葬られるだろうしね、やってみよう。」
星史「ありがとうございます。」
舞人(あの星史君が、ここまで逞しくなるとは思ってなかったな…)
星史の言うとおり、GDOのデータベースにハッキングして調べていると、数分後、浜田が気になる情報を発見する。
浜田「…うん?星史君!舞人!これ!」
舞人「何か、気になる情報があったのかい?」
浜田「星史君の言った通りさ、公にされていない生物兵器に関する情報があった。」
星史「見せてください!」
『×△年○月×日、
GDO軍事会議決定により同月△日に世界に脅威を及ぼす危険有りと判断が下った最新生物兵器の開発を進めていた帝国生物化学研究所バイオ化学開発部をGDOが摘発。
顧問であるバイオ化学者重村シュウジ博士の進めていた最新生物化学兵器の研究資料等数十点を押収し、同開発部の解散勧告を研究所側に通達。
後日事態を重く見た研究所側はこれを受諾。重村シュウジ氏以下研究員数名は懲戒解雇。
又、国際バイオ化学学会はバイオ化学の尊厳を著しく汚したとして顧問だった重村シュウジ氏のバイオ化学の博士号を剥奪し重村シュウジ氏は事実上の失脚…』
星史「…どうやら、復讐の動機付けには十分だ。他に生物兵器に関して特に何も無い事からするとこれで間違いなさそうですね…」
浜田「この内容からすると、GDOに対して一番恨みを持っているのは、当時開発部の顧問だった重村シュウジ博士だね。」
舞人「しかし、星史君がマークした人物と失脚した重村シュウジ博士には共通点は見られそうにない。」
浜田「よし、重村シュウジ博士のその後の情報を調べてみよう。」
カタカタカタ…
浜田「な!?」
舞人「浜田君?」
ディスプレイを見ながら浜田の手が止まる。星史がそのディスプレイを覗き込む。
星史「!?自殺!」
浜田「…重村博士は自宅近くの廃ビルで拳銃で自殺しているのが、発見されている。直筆の遺書も発見されているらしい。」
舞人「振り出しに戻されてしまったか…」
星史「いえ、まだですよ、重村博士の家族関係、交友関係で共通点がないとは言い切れません。自殺しているのなら、尚の事復讐の動機が強くなる。」
浜田「どうやら、その様だよ…重村博士の家族の消息が博士が死亡して以降不明になってる。調べるには少し時間が掛かりそうだけどいいかい?」
星史「ええ。お願いします。」
プルルルル…
青木「はい、メインルームでございます。はい。はい、かしこまりました、ご苦労様です。」
青木「舞人様、たった今、ワクチンの臨床実験が成功したととの報告がございました。これから大至急培養に掛かるとの事でございます。」
舞人「そうか…星史君。」
星史「後は、ゴルゴンだけだな…何から何までありがとうございます。舞人さん、浜田さん、いずみさんに青木さん。」
舞人「どういたしまして!」
浜田「困ったときはお互い様さ!」
いずみ「凶悪犯は決して許さないのが、旋風寺コンツェルンのポリシーですから。」
青木「お気になさらず。」
星史「ありがとうございます。俺は父さんに連絡を取ってみます。」
ワクチンの臨床実験は見事成功。後は、ゴルゴンの正体を突き止めるだけとなり、星史は光一郎に連絡する事にした。自分の決意を話すために。
プルルルル…プルルルル…
光一郎「もしもし?」
星史「父さん、俺だ。あの人のウラは取れた?」
光一郎「ああ、もちろんだ。拠点と見られる場所も確定できそうだ。だが、ここから先は、我々の仕事だ。後は我々に任せなさい。」
星史「…父さん、頼みがある。ゴルゴンの居どころが掴めたのなら、俺に任せて欲しい。」
光一郎「…やはりな、お前がそう言うと思っていた、だがな、星史、いくらなんでもそれは危険過ぎる。この先は我々に任せるのだ。」
星史「俺には舞人さんもいるから大丈夫だ。危険も承知してる。そのかわり父さんにはやってもらいたい事があるんだ。ゴルゴンの涙の効力を無効化するワクチンが完成したんだ、今大急ぎで培養してる。これを日本各地に散布若しくは提供して欲しい。これはGDOの小将である父さんにしか頼めない重要な事なんだ。」
光一郎「何!?ワクチンが出来たのか?」
星史「ああ、日本中の石化を解くにはGDOの力が必要なんだ。石化した人たちの生命の維持だって限界があるかもしれない。GDOの手で一刻も早くワクチンを投与して欲しいんだ。それに、俺はゴルゴンに直接会って確かめなきゃいけない事がある。お願いだ。」
光一郎「…うむ、お前は正義感が強いからな、行くなと言っても聞かんからな。しかし、ここまで逞しく成長するとは。父さんは嬉しい。わかった。だが、危険だと感じた時は、すぐに逃げるんだぞ。無茶だけはするな。わかったな?」
星史「分かってる。ありがとう。」
光一郎「うむ、詳細な情報はこちらから転送する。その情報を基に向かうといい。くどい様だがくれぐれも気をつけるんだぞ?」
星史「ああ。」
光一郎「じゃあな、健闘を祈る。」
舞人「星史君、いいんだね?」
星史「ええ、これでも元勇者たちの隊長ですからね。」
浜田「その情報、早速届いたよ。君のお父さんは君がこう出るだろうと踏んでいて既に諦めていたようだね。」
星史「父さんには感謝しないと…」
舞人「そうだね。」
浜田「よし。情報を整理しないと…」
そして、数時間後、全ての情報が集まり、準備万端に整った。
ゴルゴンの居場所も、正体も、動機も、その背景も全てが繋がった。
後はゴルゴンの拠点に乗り込むだけとなった。
浜田「解析チームによると、ワクチンは明日のタイムリミットまでには必要分の培養が出来そうだよ。」
舞人「助かる。タイムリミットを超えてからでは、ゴルゴンも暴挙に出かねない。」
浜田「分かってる。」
星史「舞人さん、武器ってあります?」
舞人「銃器は万遍なく、取り揃えてあるよ。こっちだ。」
浜田「え?武器?」
舞人はマイトステーション内の武器庫に案内した。
舞人「ここだよ、好きな物を使うといい。」
星史「じゃあ、ベレッタM92 Elite Uってあります?あとそこのコルトパイソンとそこのビームサーベルも。」
舞人「ハンドガンとマグナムとビームサーベルだね。わかった。」
青木「ほう、武器の選択がなかなかですな…ふむふむ。」
浜田「ええ!?せ、星史君、まさか武器で対抗する気かい!?」
星史「こう見えても俺は軍人の息子ですよ?多少なりともレクチャーは受けてますから。」
舞人「後ろには国際テロ組織が居るからね。星史君も本気なのさ。」
浜田「…星史君、小学生の頃と比べて随分と逞しくなったね、僕は真似出来ないな(汗)」
舞人「はは。それと星史君、ひかるちゃんに連絡した方がいいんじゃないかな?」
星史「ええ、そのつもりですよ!」
浜田「そういう舞人も、奥さんに連絡しなくていいのかい?(笑)」
舞人「ははは、もちろんするさ(笑)」
数分後、武器を揃えた星史はひかるに電話する。ひかるには話しておかなければならない、星史はそう感じたのだった。
プルルルル…プルルルル…
ひかる「もしもし、星史君?」
星史「ひかる、待たせたな。ワクチンは完成した。あとは、投与して元に戻すだけだ。」
ひかる「そっかー、良かった!!」
星史「なぁ、ひかる…」
ひかる「…ゴルゴンのところ行くんでしょ?」
星史「!?良く…分かったな…」
ひかる「当たり前でしょ!何年ご近所付き合いしてると思ってんのよ。」
星史「…ハハハ、確かにそうだな!」
ひかる「そう言う事!!いいわ、うんと取っちめてきて!そのかわり、絶対戻ってくる事!いい?」
星史「へへ、心配すんなよ!!まだ死ぬつもりはねぇからよ!」
ひかる「そう来なくっちゃ!…星史君…気を付けてね…絶対に戻って来てね!」
星史「…ああ。」
ピ!
星史「…明日が正真正銘のタイムリミット…か…」
舞人「いよいよ決戦だね。」
星史「明日はまたうんと長い一日になりそうだぜ。」
ついに、ゴルゴンの居場所を突き止めた星史たち。
物語は最終局面へと話を進める事となる。
END
あとがき
色々と設定がアホです。無茶苦茶です。ぶっ飛びまくりです。最終的に銃器まで持たせるとか…
私はアホです。私はすんばらしいアホです。
ですので、アホの小説だと思って読んで下されば、幾分か楽だと思います。←おいw
ようやく登場して頂きました。
いずみさんと浜田さんです。青木さんは前回一言だけ登場して貰っていましたが、やはり浜田さんの重要度が異様に高くなり、メチャクチャ出ずっぱりですね(汗)
あ、大阪次郎さんハブってしまった(笑)
登場させようがなかったって事でご理解ください(汗)
マイトステーションのご都合主義その1:科学力が有り得ないほどずば抜けている事。
マイトステーションのご都合主義その2:何も動じない事。
マイトステーションのご都合主義その3:酷く楽観的な部分が垣間見える事。
マイトステーションのご都合主義その4:武器庫まであるというほど施設が充実し過ぎな事。
どうなってんでしょうか、マイトステーション…
しかも、星史君に持たせてる武器。
まぁ、ビームサーベルは何とかウォーズの物と同じに見て頂くとして。
ベレッタM92 Elite Uとか最新モデルに加えてコルトパイソンを普通に要求するとか(笑)
詳しくない方は、調べて見るといいと思われます。
実は、星史君に武器持たせるの念願の夢だったり(汗)
次回はこの小説のラストパートになります。
出来る限り、盛り上げたいと思っていますので、どうぞお楽しみに。
2011/11/13 前回へ 続編へ