時空を超えた怪事件
〜進展編〜
時刻は既に21時を回っていた。
事件から早数時間、長い一日はもうすぐ終わるというのに、桜小路家に到着したものの肝心の螢は行方知れず。
星史たちは、落ち着く為、桜小路家で用意された食事を口にし、螢が姿を現すまでずっと待ちぼうけの状態だった。
ひかる「桜小路さん、何処へ行ったのかしら?」
サリー「まさか、石化しているとか…」
舞人「サリーちゃん、ここのおばあさんが被害はないと言ってたじゃないか。そのうち帰ってくるさ。」
サリー「だといいんですが…」
星史「螢の事です、粗方ふらっと戻ってきますよ、現状、マイトウイングの除染も時間が掛かってるようだし、仕方ないですよ。それよりも…」
ひかる「それよりも?」
星史「気になる事があるんだよ…」
舞人「奴の犯行声明だね…俺も感じた事があるんだ。」
星史「ええ、俺にはどうも奴が助けられる方法を知っているとは思えないんです。『今回の日本のように世界中の人間が生きたまま石の彫刻と成すであろう。』これは『犠牲者を増やしたくなければ従え』と遠回しに言ってます。タイムリミットは3日、たったそれだけの時間で世界が転覆するにはあまりにも無理がありますしね。」
舞人「俺も同感だ…明らかに手の打ちようがないような言い回しだ。」
星史「…恐らく奴はどの道助ける気なんか更々ないって事で間違いないと思います。」
ひかる「そんな…じゃあ、被害に遭ったお母さんや町の人たちはこのまま元に戻らないって事!?」
星史「だーかーらー!、諦めんのは早いって!何のために俺たちが居るんだ?」
舞人「GDOに出来なくても、俺たちなら出来るかもしれないさ。希望はまだある。」
ひかる「で、でも…」
サリー「ひかるちゃん、信じましょう!ね?」
ひかる「は、はい!」
星史(でも、これじゃあ、単なる恨みから来ているものとしか…ゴルゴンの真の目的が世界征服には到底見えない…むしろ滅亡を望んでいるようだ…本当に地球が恐れていた事なのか?)
舞人「しかし、星史君の力と今回の怪事件。何か因果関係が本当に存在するのか…」
星史「俺も不思議でなりませんよ…螢の言ってた力は本当にこれなのか…」
螢「そう…それが貴方の力…貴方の力はもう目覚めているわ…」
四人「「え?」」
星史「ほ、螢…」
ふと、星史たちが振り返ると、そこには螢がいた。
ひかる「桜小路さん、一体何処へ行ってたの!?」
螢「地球の声を聞いていたの…」
星史「螢。目覚めたってどういう事だ。」
螢「貴方の力は聖なる力…正義の心と勇敢な心が生んだ新しい力…それが聖なる力『フレア』…地球はそう言っているわ…」
星史「聖なる力『フレア』?」
螢「そう…聖なる力…『フレア』…ただ貴方の力はまだ目覚めたばかり。これからどうなっていくのか…それは、貴方次第…」
星史「俺次第…か…螢、前にお前、地球が何かを恐れているって言ったろ?俺にはまだ地球の声が聞こえねぇけど、何となく分かる、この事件…」
螢「貴方が思っている通りよ…この事件は地球が恐れている事と、全くの別物…」
舞人「何だって!?」
ひかる「じゃあ、一体?」
星史「やっぱりな…そうなんじゃないかと思ったんだ…この事件、なんだか恨みが強いと思ってた所だ…恐らくゴルゴンによる…」
舞人「復讐か…それならば、動機付けられるね…」
星史「ええ、自分自身の復讐の為にわざわざ罪のない人たちを巻き込むとはマジで狂ってやがる…(怒)」
舞人「星史君と同じさ。俺も決して許せはしない(怒)」
螢「この災いは人類が起こしてしまった人災…私たち人類が何とかしなくてはいけないわ…」
サリー「酷いわ…何にも罪もない人たちを…」
静まり還る室内。この事件は地球の恐れていた事とは一切無関係で首謀者ゴルゴンによる復讐とわかり、宛もない怒りが込み上げていた。
サリー「今日は日本各地晴れ間が見れて過ごしやすいと言っていたのに、まさかこんな事になるなんて…」
星史&舞人「「え…」」
星史と舞人は声を合わせた。
星史「サリーさん、その天気予報いつ言ってました!?」
サリー「え?ええと、お昼のワイドショー、叔父様と叔母様が見てらして、なのに、全然雨雲で曇ってて今にも降り出しそう感じだったから、全く当てにならないって話してて…」
舞人「星史君…」
星史「もしかして…」
ピリリリリリ、ピリリリリリ!
その時、突然、星史の携帯が鳴り出した。
星史「!?父さんだ!」
ひかる「え、おじ様から?回線回復したのかしら?」
星史「いや、GDO専用の守秘回線からだ。どうやら、守秘回線は無事らしいな。」
タイミングがよく、星史の父で今ではGDOの少将でもある光一郎から、守秘回線を利用して電話が掛かって来たのである。星史には願ってもない事だった。
ピ!
星史「もしもし?父さん?」
光一郎「星史、無事か?」
星史「大丈夫だよ、ただひかるのおばさんがやられちまった。」
光一郎「そうか、GDOが居ながら、面目ない。」
星史「父さん、敵の情報は?」
光一郎「うーむ…軍事機密上、本来なら話せないのだが、元ダ・ガーンたちの隊長だったお前の事だ。動くなと言ったところで聞くわけないからな。教えざるを得まい。今わかっているのは、無人ヘリの残骸が各地で発見されている、恐らくこれが犯行に使用されたとみてまず間違いない。まだ分からんが、使用された無人ヘリは、国際テロ組織ドラゴンヘッドが過去に使用した無人ヘリと型が酷似しているとの事だ。」
星史「これだけの規模のテロ行為…ゴルゴンと世界各地に拠点が存在すると言われてるドラゴンヘッドが手を組んでいる可能性大って事か。」
国際テロ組織ドラゴンヘッド…2、3年前から世界各地で大規模な破壊テロを企て、腐り切った世界をリセットさせると豪語し、GDO並びに世界各国に対し、再三脅迫し続けている新勢力の闇の組織である。
首謀者ゴルゴンにドラゴンヘッドが加担している可能性は大いにあるだろう。
星史「それで、父さん、確認しておきたいことがあるんだ。」
光一郎「何だ?」
星史「気象庁のデータに異常はなかった?」
光一郎「鋭いな、お前の言うとおり、気象庁のデータ管理システムが2、3日前にハッキングにあった痕跡が見受けられたらしい。気象データが実際の曇り一時雨の予報が快晴に書き換えられ、予報を誤認させる狙いがあったと考えられる。」
星史「やっぱりか…ゴルゴンは、気象庁に度々不正にアクセスして以前から雨雲が多くなる天気の日を予め確認していたんだ。いつ降らせても良い様に。こうなると、肉眼じゃ無人ヘリの発見は難しいな。おそらく無人ヘリにはステルス機能も付いてやがったな…技術進歩はいいが、こうも相手に回すと脅威になるとは…」
光一郎「あと何かあるか?」
星史「あ、そう言えば、郷上大佐が会見で言ってたけど、なんだって、犯行声明の公開を日本を優先的に?」
光一郎「それはな、日本政府から散々本部に対し、対策や状況の確認などを求めては来ていたんだが、それを嗅ぎ付けた日本のマスコミが政府に対し回答を求める取材が殺到したらしい。それに堪え切れなくなった政府が本部に犯行声明が届いた事で後程GDO本部から発表があると口を滑らせてしまったのだ。」
星史「なるほど、つまり、タイミングを見計らって世界に一斉公開するはずだったけど、急遽日本から優先的に映像を公開した、だから世界には順次配信する事になったって事か。」
光一郎「そういう事だ、隣国には30分前後で遅れて公開されたらしいがな。今教えた事はくれぐれも内密にな。残念だが、使われた『ゴルゴンの涙』の成分を今必死で分析中だが、石化を解く方法はまだ見つからないのが、現状だ。だが、関係先各所も全力を尽くしている、諦めずにな。」
星史「ああ、分かってる。」
光一郎「ん?星史、どうやら母さんの報道特別番組で専門家のインタビューがあるらしい、私はこれから軍事会議に出なければならん、インタビューを見たら詳しい情報を後で教えてほしい、一旦切るぞ?」
星史「専門家のインタビュー?分かった。俺も見た後、報告するよ、それで自分なりにも調べてみる。」
光一郎「うむ、暫くしたら、徐々に回線も復旧する見通しだそうだ。後でテレビ局に連絡して母さんを安心させてやるといい。じゃあ、また後でな。」
プツ、ツーツー…
星史「螢、悪ぃ、ちょっとテレビ見させてくれねぇか?専門家のインタビューがあるらしいんだ。少しでも情報が必要なんだ。」
螢「ええ、いいわ…」
星史たちはテレビのある部屋に移動して、光一郎に言われた通り、専門家のインタビューをチェックする事にした。すると、蛍のばあやが既にお茶を飲みつつ、唸りながら見ていた。
美鈴「続きまして、今回の事件について専門家の方々に分析と見解をお伺いしております。現在、国際バイオ化学学会に出席するため来日していたバイオ化学の専門家ギルバート・マドラー博士(64歳)、アメリカの州立大学で女性で唯一次世代生物化学の研究をされておられます日系アメリカ人ジェシカ・河島准教授(28歳)、バイオエネルギー実用化を目指して研究されておられます日本バイオテクノロジー研究所副所長水島コウヘイさん(36歳)。それぞれの方に先ほどの犯行声明後、電話でインタビューに答えて貰っていますのでどうぞお聞きください。」
マドラー博士「まるで、驚きです。人間が石化する原理が考えられません。この『ゴルゴンの涙』は新種のウィルスには間違いないでしょう。『ゴルゴンの涙』の全容解明が急がれます。」
河島准教授「大学でこのニュースを見た時大変ショックを受けました。現在資料を基に分析中ですが、この『ゴルゴンの涙』は未知の生物化学兵器であり、生命に危険があるのか分かりませんが恐ろしい兵器に違いありません。」
水島副所長「我が国でこのような事件が発生し、とても残念でなりません。今日は日本全域曇りがちだったようでしたから、それを狙っての計画的犯行だと思われます。『ゴルゴンの涙』とやらを予知出来なかった事も悔やまれますね。」
特に変わった事がないと皆思った瞬間だった。
星史「!?え…」
ひかる「何、このインタビュー!!全然、詳しい分析してないじゃない!本当に困っちゃう!!ねぇ、星史君!」
星史「……は!」
あまりにも無能すぎる専門家の見解に皆肩を落とす中、星史だけが違和感を感じ何か閃いたようだ。
舞人「星史君?どうかしたのかい?」
サリー「星史君?」
ひかる「ねぇ、どうしたの?星史君?」
星史「…ゴルゴンとか言う大悪党はどうやら願ってもないボロを出してくれたようだ。」
ひかる「え、ボロ?」
星史は咄嗟に携帯電話を取り出し、電話を掛けはじめた。
光一郎「もしもし、星史か?どうだった、インタビューを見て何か…」
星史「父さん、今テレビで電話インタビューを受けていたある一人のウラを調べてほしい。あと過去にGDOに対して恨みとか持つような出来事もあったら併せて!」
光一郎「急にどうした。まさか、何かわかったのか。」
星史「ああ、その人物を調べる必要がある。」
光一郎「そうか、で、それは誰だ。」
星史「その人物は…」
星史はその人物の名前を理由付で静かに告げる。
光一郎「…分かった、確かにそれは矛盾している、良く気付いてくれた。即座に調査チームを結成し、調査する事にしよう。テレビ局にもインタビューをした正確な時間も聴取しなくては。また、何か分かったら、教えてくれ。」
星史「分かった。」
ひかる「星史君、ま、まさか、今のインタビューの3人の中に!?」
サリー「犯人が!?」
舞人「断定は出来るのかい?」
星史「断定はまだ出来ないです。物的証拠はないですし。でも、関連はあるのは間違いないと見ていい。」
ひかる「じゃあ、何でそこまで言えるの?」
舞人「理由を教えてくれるかい?」
星史「父さんとの電話での情報から考えると、一人だけインタビューで有り得ない矛盾を言った。例えその人物が首謀者のゴルゴンではなくとも、ゴルゴンと密接に関係している可能性がある。これは重要な手掛かりになります。」
舞人「矛盾か…確かに、何か引っかかるね。」
ピ!ピ!ピ!
舞人が左手に身に付ける腕時計型通信機のダイヤグラマーが鳴る。どうやら、マイトウイングの除染を行っていた青木さんからのようだ。
舞人「はい、こちら舞人。」
青木「舞人様、大変長らくお待たせ致しました。マイトウイングの除染は全て完了致しました。『ゴルゴンの涙』と呼ばれる生物兵器についてもマイトステーションで調査を始めております。」
舞人「分かった、青木さん、ありがとう。星史君、聞いたとおりだ。話は移動しながら聞こう。先ずはマイトウイングに。」
星史「分かりました、ひかる、あの人の映像とかなんかテレビで出たら、チェックしといてくれ。じきに回線も復旧するみたいだから、ネットで調べてくれてるとなお助かる。」
ひかる「ちょっと、待ってよ!そのある人物って一体誰なのよ!」
星史「あ、ああ、そうか、教えてなかったな、それはな…」
ひかる「…OK、分かったわ。信じられないけど、細目にチェックしとくわ。ネットでも出来る限り調べてみる。」
星史「頼むぜ、行きましょう!舞人さん!」
舞人「うん、急ごう!」
かくして、数分後、星史と舞人はマイトウイングに乗り込み、ワープゾーンに消えて行った。
タイムリミットまで後二日あまり。
星史たちは見事ゴルゴンの野望を打ち破る事が出来るのだろうか。
END 次回に続く
あとがき
…え?まだ続くの?って思う方いらっしゃると思います。
はい、本当にすみません、まだ終わりません。というか終わらせる事が出来ません(汗)
だらだらと続いているようですが、一応、話自体は進展していますので、気長に穏便にお読み頂けると幸いです。
もちろん、人物の名前を敢えて伏せたのは、古畑任三郎チックに話を進めない為です。
とは言え、文を読めば、何となく分かる気がしますが…
そして、最後の最後で初めて舞人さんが使いました。合体に必要不可欠な腕時計型通信機ダイヤグラマー…
べ、別に、存在忘れてたわけじゃないですからね(汗)
登場させるのが困難だっただけですからね(キリッ)
で、どうしても星史メインに話が進みますが、一応ダ・ガーンの小説ですし、舞人さんにはサポート役にとことん徹して貰ってます。
何でしょうかね…なんか自分のイメージでは、星史君が考えながら仕切って舞人さんがそれを的確に全力でサポートするっていうイメージなんですよね。
因みに私が考える舞人さんは言われるまであまり気付かないという勘の鈍さが目立ちますが、これは全て星史君を引き立てる為なので、ご容赦ください。
ってなわけで、次回をお楽しみください。
2011/11/11 前回へ 続編へ