時空を超えた怪事件
〜動揺編〜


突如として日本全域を襲った黒い雨による石化の脅威。

日本各地はこれにより、前代未聞の大パニックとなり、ひかるの母親であるつくしもその被害に遭ってしまった。

星史は石化された人々を救う為、この黒い雨を降らせている張本人を叩くべく、舞人に協力を得て行動に出る事になったのだが…

ひかる「星史君、ダメ!回線がパンクしてるみたいでもう携帯も繋がらないわ!」

星史「だろうな、これだけの被害出てるんだ、みんな考える事は同じだ。」

降り続く黒い雨により、星史たちはひかるの家から思うように身動きが取れない。動きたくても動けないもどかしさが彼らを襲う。

舞人「こうなったら、仕方ない。一旦マイトステーションに帰還して、この黒い雨を調査してみる必要がありそうだね。」

星史「ですが、先ずはマイトウイングの除染が先決です。厳光寺の裏山に隠してあるマイトウイングも当然汚染されているでしょう。除染してどこまで防げるか分かりませんが、やらないに越した事はないですし。」

黒い雨を降らせている雨雲は全国各地に跨り、降り続いており、当然マイトウイングの隠し場所でもある厳光寺にも多大な被害を齎している事は何より明白。

そんな状況下でマイトウイングが無事で済むはずはない。今では黒い雨に濡れ悲惨な状態だろう。

舞人「確かにそうだね。俺は青木さんに連絡を入れて、除染を優先的に行ってもらう。そして戻ってこの黒い雨を調査してみる。」

星史「マイトウイングが動けるようになったら、俺も舞人さんの世界に連れてって貰っていいですか?もしかしたら、力になれるかもしれない。」

舞人「星史君の事だ。そう言うと思っていたよ。もちろん、そのつもりさ。しかし、この黒い雨が降り続いている以上、この状況では、暫く動くのは困難だ。」

外は相変わらず黒い雨が激しく降り続く状態だった。

一度、黒い雨に触れると、生物は一瞬で石の塊と化してしまう危険な雨。外はその黒い雨に満たされ、固形物と混じり合い、所々で濁流となっている。

出歩くにはとてもハイリスクな状態で身動きが取れず、今の彼らは呆然とその光景を見詰める事しか出来なかった。彼らにとって最大の懸念、それは彼らが被害に遭ってしまう危険があるという事である。

星史「これじゃ、まるで鳥かごの中だぜ。」

ひかる「星史君!雨が弱まって来てる!!」

星史「!?何だって!!」

しかし、多大な被害を出した黒い雨は次第に弱まり、数分後には完全に止み天候は回復するという不吉な状態となった。

舞人「雨が止んだ。これは一体…」

サリー「さっきまで酷い騒ぎがウソのよう」

舞人「止んだ事は喜ばしいけど、妙に不自然だ…」

ひかる「今まで激しく降ってたのに、一瞬で…星史君、どうして急に…」

星史「…警告だよ。」

ひかる「警告?」

星史「ああ、敢えて日本中に降らせ続けたこの最悪な雨を止めたって事は、いつでも降らせられるって事を見せつけることが狙い。完璧な脅しだよ。」

ひかる「でも!誰に対してそんな事を…」

星史「…恐らく警告している相手はGDO(地球防衛機構軍)本部だ。GDOの高官・幹部クラスには父さんを始め、日本人も多いし、GDOに対して一番影響力があるのは日本だからな。警告の対象にするには打って付けってわけだ。」

舞人「なるほど、容易に世界征服を果たせるのなら、わざわざ日本だけを集中攻撃する必要はない、ということだね。」

星史「ええ。今じゃ、俺たちの世界はGDOが世界各国の治安維持に貢献し続けている程なくてはならない存在なんです。相手にとって一番脅威なのはGDOの存在、GDOを降伏させる事が急務なんですよ。」

舞人「つまり、GDOが降伏してしまえば、世界の均衡は崩れ誰にも手に負えなくなる。」

星史「世界最大規模の軍事力があるGDOが降伏してしまえば、長期化すれば長期化するほど各国の首脳は立ち向かっても無駄と考えて相次いで降伏するでしょうね。」

サリー「大変です!今テレビで犯行声明が流れたって!!」

星史「やっぱり来やがったな。」

事件に動きがあったようで、星史たちは食い入るようにテレビに注目する。

美鈴「たった今、情報が入りましたのでお伝えします。今回の石化事件に関与していると思われる首謀者より犯行声明が発信されたとGDO、地球防衛機構軍から発表があるようです。」

郷上大佐「え〜、地球防衛機構軍情報局長の郷上であります。」

星史「あの無茶苦茶な横暴大佐だ、まだ昇進してねぇのか…(汗)」

ひかる「今はそれどころじゃないでしょ!!」

舞人「ひかるちゃん、星史君は冷静だ。心配ない(笑)」

ひかる「それは、分かってますけど…」

郷上大佐「たった今、オーストラリア本部宛に今回の事件の首謀者と思われる人物から映像付きで犯行声明が届きました、首謀者はこの犯行声明の映像を放送する事を要求しておりますので、日本国民の皆様方に先んじて放送いたします。」

舞人「どうやら星史君の読み通りのようだね。」

星史「ええ、問題はこっからです。」

星史の読みは見事に的中。今回の事件の黒幕は、世界の均衡を守るGDOに対し犯行声明を送り付け、事態はより深刻となった。

ザザ…ザー…

数秒間の砂嵐の後、画面には黒いローブに身を包み、顔を不気味な仮面で隠した人物が現れてた。

ゴルゴン「我が名はゴルゴン。この世の運命は我が掌にある。GDO及び世界各国首脳に告ぐ。これより72時間以内に武装放棄し、私の前に降伏し、私を神と崇めよ。さもなくば、我がゴルゴンの涙・・・・・・により、日本のように世界中の人間が生きたまま石の彫刻と成すであろう。これは警告である。次はないと思うがよい。フハハハハ…」

ザー…

郷上大佐「あ、えー、以上となります。更に首謀者はこの犯行声明を世界各国に放送する事も要求しておりますので、現在放送している日本のテレビ局をキー局とし、この映像を順次世界に配信していきたいと考えております。なおゴルゴンと騙る首謀者は現在国際警察とも連携し現在捜索中でありまして…」

延々と続く郷上大佐の会見を尻目に彼らは状況の深刻さを噛み締める。

ひかる「うそでしょ…72時間って三日以内じゃない…」

サリー「酷い…」

舞人「ゴルゴンの涙・・・・・・…あの黒い雨の事だね。」

星史「今回の件をギリシャ神話に準(なぞら)えてやがんのか。何がこの世の神になるだ。ふざけた事抜かしてやがる(怒)」

犯行声明で分かった事はこの世の神となり、この世界制服を狙うというだけで姿形も不明の謎のベールに包まれた今回の事件の首謀者ゴルゴンという人物。

邪悪な雰囲気を映像から漂わせつつ、何を考えているのかわからない。この事件の首謀者ゴルゴンとは一体何者なのだろうか。

舞人「だが、奴は生きたままと言って死亡とは言っていない。という事は、救えないわけじゃない…まだ、天運に見放されていないみたいだね…」

サリー「それじゃあ、石になった叔母様や皆さんは助けられるんですね!」

ひかる「ホント!?良かった〜」

星史「だけど、タイムリミットは3日。何から何まで用意周到な計画的犯行だ。突き止めんのは容易じゃない。」

舞人「ああ、状況的には茨の道には変わりはない。」

ひかる「そ、そんな…」

星史「諦めんなよ、その為に、異世界に住む舞人さんと協力するんだ、絶対に突き止めてみせる。」

ひかる「…うん、そうよね!!諦めちゃ、そこで試合終了だものね!!」

星史「ああ!…それに何と無くだけど、何かおかしい。」

ひかる「おかしい?」

サリー「どういう事かしら?」

舞人「星史君が言ってた不思議な力で何か見えたんだね。」

星史「ええ、奴には恐らく裏があります。手振りやリアクションはあったから人形ではなく間違いなく首謀者本人でした。オーラも少なからず滲み出てたように見えたし…」

ひかる「オ、オーラ?何それ?何も見えなかったけど?」

舞人「星史君はどう見てるのかい?」

星史「いえ、それが何とも…違和感はあるんですけどね。映像を通してなんではっきりしないんですよ。」

舞人「そうか…」

星史「…それに、いくらなんでもタイムリミットに無理があるのも気になる…舞人さん、マイトウイングの除染中に先に螢のところに行ってみませんか?時間に猶予がないですし、俺の力と今回の事件との因果関係も知りたい。」

舞人「わかった、除染には時間も要する事だ。青木さんに連絡出来次第向かおう。」

ひかる「さ、桜小路さんのところ?」

星史「ああ、先ず調べる前に俺の目覚めちまったっぽい力がなんなのかを知るのが先だ。」

ひかる「はあ?星史君、何の事だかさっぱり分からないんだけど?」

星史「う〜ん、お前にどうやって説明したらいいんだか…」

舞人「星史君、青木さんが時空転送装置を使って除染隊を送ってくれるそうだ。いつでも螢ちゃんのところに向かえるよ!」

星史「そうですか、じゃあ早速行きましょう。」

ひかる「もう!何が何だかもう本当に分からないんだけど!」

星史「だーもう、分かった分かった!向かいながら説明してやるから、ほら行くぞ!」

舞人「よし、行こうか!」

サリー「あ、待って下さい舞人さん私も行きます!!」

果たして、星史の身に着いた力とこの事件はやはり関係しているのか、それとも単なる偶然なのか。

星史たちの戦いは、まだ始まったばかりである。


END 次回に続く

あとがき

…なんだか、最後の方がつくしさんの事忘れまくりでさっぱりし過ぎなのかと…

果たしてこんなんでシリアスって言えるのだろうか。

当初の予定より長く動揺感が多くなり内容に合わなくなりましたので、サブタイを「捜索編」から「動揺編」に切り替えました。併せまして前回の小説も「事件編」から「事件発生編」に変更しました。

何卒、ご了解ください。

名前が安直過ぎて本当にすみません。

私の頭をどうぞ呪ってください。

難しいですね、ホント事件を文体で表すのって…推理小説とか読むべきかな?

短すぎても、内容が薄くなるし、長すぎても見飽きるので、なんとかいい段階で区切っていきたいと思います。


2011/11/08前回へ 続編へ