〜当日〜
二人は、焼け付くような暑さの下、水着に着替えた状態で海水浴場で呆然と地に足を着けて立っていた。
星「かぁ〜、すっげぇ人。」
ひ「お盆だったら、恐らくこれ以上ね。でも、気持ち良さそうでいいな〜…」
星「俺達も海でおもいっきり泳ぎてぇぜ…(汗)」
太陽が澄み切った空からギンギンに地表を照らし、地表からこれでもかと思うほどの熱気を全身に感じる。正に海水浴に持ってこいの天気だった。
しかし、二人はこの海を満足出来る訳ではない。遊ぶ為に来た訳じゃないので、二人はとても苦々しい気持ちだった。
サンダルを通して伝わってくる砂浜の熱が、今にも海に駆け出したくなる衝動を駆り立てる事に必死に我慢している二人が周りから見ると、とても辛そうに見えるのは当然だった。
水着姿で水遊びしてる人達が羨ましく思えてしょうがない。
星&ひ「「ハア〜…(俺/私)達って…」」
二人の溜め息が空しく、人達の笑い声に掻き消されていた。
根「星史く〜ん、ひかるちゃ〜ん、こっちこっち!」
星史とひかるが声のする方に振り向くと遠くで手を振りながら、大きな声で呼ぶ根元巡査の姿があった。
星&ひ「「はいはい、今行きまーす…」」
ハイテンションの根元巡査と対称的に全くテンションが上がらない二人は渋々根元巡査の方へ歩を進める。
根「おはよう、今日はよろしく頼むよ!」
星「(人の気も知らないでテンション高ぇな)…んで、これが俺達の海の家ですか?」
根「以前使ってた人達がもうここは使わないからって事でね、今日だけ使わせてもらうことになったのだよ、ナハハハ!」
星「そこ、笑うとこ?」
ひ「威張れるとこでもないんですけど…」
根「嫌だなぁ、冗談、冗談!」
星「ん?」
星&ひ「「え…」」
ふと二人は海の家の看板を見上げて見ると、開いた口が塞がらないくらい唖然としてしまった。
星&ひ「「海の家ネモト…」」
星&ひ((ちゃっかり自分の名前を店の名前に使ってるし…))
二人は呆れてなんて話したらいいのか全く言葉が出なかった。
根「どうしたんだい?二人とも青ざめて?」
星&ひ「「いえ、別に…」」
根「さぁ、こっちこっち!みんなに紹介するよ!」
星「…ひかる。俺達、来て良かったのかな?(汗)」
ひ「あたしも自信を持って良かったと言えない…(汗)」
根「皆さん、今日、助っ人で来て頂いた高杉星史君と香坂ひかるちゃんです。さぁ、二人も自己紹介。」
根元巡査はニコニコ笑いながら二人に自己紹介をするようになんの躊躇いもなく、二人の肩を掴み、一歩前へと押し出した。
星「Σちょっ!…ったく、なんか、えらく調子いいな…高杉星史です。本日はよろしくお願いします。」
ひ「香坂ひかるです。星史君共々頑張ってお手伝いしますので、よろしくお願いします。」
自己紹介が終わると歓迎の拍手以前に真っ先に水着姿の婦人警官が星史達に話し掛けてきた。
*「へぇー、星史君って言うんだ〜。ちょっと美形じゃな〜い?」
*「ホント〜!」
*「なんか出来る人って感じね〜!」
星「…い、いえ、そんなことないです、はい…」
星史自身、本当はニヤつくほど嬉しいはずなのだが、隣にしっかりとお目付け役が居るので毅然と振る舞ってはいる。しかし、どちらかというと、殺気立った気配にただ怯えていると言った方が正解だった。
ひ「惑わされちゃ、ダメだからね?(怒)」
星「分かってるっての…(汗)」
*「ひかるちゃんもかわいいわね」
ひ「え?本当ですか?」
*「うん、ホントにかわいい。」
*「女の子にしちゃ、勿体ないなぁ。」
ひ「きゃぁ、すんごく嬉しい!!」
*「二人って、高校生?」
ひ「はい!緑が浜高校2年でーす!(笑)」
*「高校生でこんなに綺麗なんだー!羨ましー!」
ひ「やだぁ!そんなことないですよー!(笑)」
星(コノヤロー…ひかるだって、かわいいとか綺麗とか言われてメチャクチャ嬉しがってんじゃん…惑わされてんのはどっちだよ(怒)相手が男じゃねぇから、まだしも…)
星史自身、そんなひかるを見て、気持ちがやきもきしていた。
実際には星史自身、自分が我慢している事より、ひかるの周りに人が集まる事自体が納得いかないらしく、周りから見ると一目瞭然なほど焼きもちを妬いている事が手に取るように感じられる。
しかし、当の本人は自覚がないのか、その様子に全く気付いていなかった。
星「ウォッホン!ひかるー?(怒)」
ひ「あ(汗)…そうそう!そんなことより根元さん!自己紹介も終わったんだし、そろそろ取り掛かりましょうよ!(汗)」
根「うんうん!そうだね!じゃあ、始めよっか?(笑)」
星(ひかるの奴、上手く話を逸らしやがったな…)
根「それじゃ、まず…うーん…」
そう言った途端、根元巡査は腕を組み、口をへの字に結び静かに考え込んでしまった。
星「ど、どしたの?根元…さん?(汗)」
ひ「急に黙り込んじゃって…」
根「うーん…」
星&ひ「「…」」
根「うーん…」
星&ひ「「……」」
根「…何をすれば良いんだっけ?(汗)」
星&ひ「「Σだぁぁぁー!」」
ズデーンッ!!…
突然響いた間の抜けた本末転倒の言葉を聞き、両隣に居た星史とひかるは婦人警官の面前で大きく両側にダイビングしてしまった。
息の合ったコケ方に婦人警官達はそんな光景を困惑の表情で呆然と眺めている。
星「何考えてんの!?責任者なんじゃないの!?」
ひ「そこまでとは、さすがに思ってなかった!!(怒)」
根「…ハハハ〜、星史君お願い…(汗)」
星「マジかよ〜、こんなんで良いスタート切れんのかよ…(汗)」
ひ「はぁ、どこまでリーダーシップないのよ…。星史君、仕方ないわ、頑張って!」
星「ったく〜(汗)…えー、まず、全員で荷物を店の中に運んでください!そのあと、二名ずつに役割を分けます。店の準備が二人、アイスキャンディの売り子が二人、ビラ配りが二人でお願いします!ビラ配りとアイスキャンディの売り子は終わったら、店に戻って手伝いをして下さい!開店したら、かき氷、ドリンク類は手分けして出してください!調理は俺とひかると根元さんがやります!」
根「え、本官も?」
ひ「当たり前です!」
星「調理なら任せろって言ったんでしょ!しっかりと働いてもらいますからね!」
二人は、眉間にシワを寄せて根元巡査を見つめた。
根「あ、わかった、わかった!ナハハハ!…(汗)」
その気迫に圧倒された根元巡査は素直に承諾した。根元巡査は正直、心の中で今の二人は、たとえ現役の刑事でも敵わないくらいの気迫があると思った。
星「納得したところで、始めてください!お客さんは待ってくれないですよ!」
根元巡査のリーダーシップの無さは話にならず、対称的に星史のリーダーシップは目に見張るモノがある。その場に居た全員が素直にそう感じていた。
結局、根元巡査の指示ではなく、星史の指示に従う海の家のメンバーだった。
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