星に願いを



時は、夏休みがもうすぐで終わりに近づいたある日の夜のこと。

俺は、急に空が無性に眺めたくなった。何故だか、じっくりとこの目で見たくなった。

その気持ちは、あっという間に俺の脳内を満たし、じっと構えられなくなる。

結局、居ても立っても居られなくなり、気付けば、その気持ちに負けて動き出し ていた。

夜も遅く、静寂が包み出した住宅街。

その一つである自宅の屋根に俺は静かに登った。

見晴らしの良いど真ん中に陣取り、仰向けに寝転ぶ。

そっと見上げると、俺の視界に漆黒の闇が広がる。その中でいくつも点在する光輝く星が俺の目を釘付けにした。

地上から見る未知なる広大な宇宙に深く酔いしれた。

あっという間に楽しい時間は過ぎ去ってゆく。

夏休みもあと僅かで終わってしまうんだ。

緑ヶ浜から見る夜景は、そんな気持ちの俺を一瞬で虜にした。

「…すごく綺麗だ…」

地球から見る宇宙の偉大さを改めてこの目で感じ取れる。

いつしか、この夜空も見れなくなってしまうのだろうか。

そう感じていたら、ふと考えた。

小五のあの時、地球にオーボスがやって来るまで…いや、ダ・ガーンに会うあの時まで俺は、生きている事が素晴らしいと思った事も、感じた事もなかった。でも地球の事を理解出来る螢は、ずっと前から感じていたんだろう。

今なら俺も感じるし、地球に生きている事を素晴らしく感じる。

だけど、周りの人達は全員が全員そう感じる訳じゃない。

最近では、地球の温暖化、オゾン層の破壊と言った地球環境の悪化が進行している上に、不法投棄等のマナーを逸脱した行為も目立つ様になった。

更に、懲りずに醜い争いに手を染める国もまた現れ始め、核兵器にまで手が伸びる始末になってしまった。

俺達、人間はオーボスとの闘いを経験したはずなのに、何故、それを教訓として後世に伝えようとしない人間が居るのか。

あの時の事をもう忘れてしまったのか。

俺は隊長として戦った身から疑問に感じるということを通り越して強い憤りを感じる。

オーボスがやって来なければ、確かに良かったのかもしれない。誰しもが思う事だろう。

けれど、かえってやって来なかったら、来なかったで地球は、もっと危険な未来が待っていたのかもしれない。

「…ダ・ガーンは…セイバーズやランダーズ、ガ・オーン…みんなは…勇者達は、今の地球を見てどう思ってんのかな。」

俺達、人間は本当にこのままで良いのだろうか。

地球の事を一切考えない人間は恥ずかしくないのだろうか。

人間、一人一人があの時の経験を踏まえ、もっと自覚を持つべきだと俺は思う。

現実から逃げれば、いつまでも逃げ続けることになる。

そして、憎しみは憎しみを生み、争いは争いしか生まない。

これを理解しない限り、明るい未来は、築けないんだ。

どうしてわからないんだろう…誰しもが理解出来るはずなのに…

「…はぁ、うだうだ考えても何も始まらねぇか。よっと!」

俺が傍らにあるダイレクターを握り締め、意を決して立ち上がった時だった。

「あ!…流れ星だ…」

夜空に、一際目立つ明るさを増した流れ星が弧を描いて夜空を駆けた。

「…いつか、地球にとっても、地球に暮らす生き物にとっても、平和で素晴らしい未来がありますように…」

長く弧を描いた流れ星は、俺の願いを聞き届けるように静かに跡形も無く消えていった。

「まるで、地球が降らしたような流れ星だったな。さ〜てと、家の中に戻るとしますか!」

俺は、渋々戻ることにした。今日はこれが見納めと思うと、しっかりと自分の目に焼き付けんと思ってたのか。

体か自然に夜空との別れを惜しむように振り返っていた。

「…俺も、未熟だったけど、隊長として戦った人間だ。父さん達に任せてばかりじゃ、結局、良い結果は生まれねぇんだ。」

「オーリンに…地球に未来を託された俺達が動く時なんだ!」

「…俺が何としてもあの時の経験を語り継いでこれからの人間を絶対に変えてやる!」

俺の願いよ、届け。

いつまでも、地球と共に共存するために。

未来を信じ続けるために。

俺の闘いは、決して終わらない。

地球の未来を守って行くために。

未来は、俺が守る。







END

あとがき

未だに夏の設定…かなり遅いですね。ご勘弁下さいませ(汗)

今回は、CP設定は無く星史一人の語り設定です。

高校生設定の星史が自宅の屋根で一人夜空を見上げている姿が想像出来たので、作ってみました。

星史にとって我々現代の地球の状況を見たら、こう考えるんじゃないかと思いまして(苦笑)

読んで下さった方、ありがとうございました。

2008/11/19